100円以下から3,000円以上まで!ディープなピックの世界
エレキ、アコギも問わず、一般的にギタープレイヤーの必需品と言えば、ギターとピックですよね。
読者の皆さんの9割以上は、ピックを利用することがあるかと思います。
昔はどのピックも同じような素材で、シェイプも代わり映えがしなかったものですが、最近はどのメーカーも研究が進み、形状、厚み、素材に変化が出てきています。
1枚3,000円以上という驚きの価格のピックも販売されています。
今回はピックの紹介と、音の違いについて解説していきます。
[voice icon=”https://www.guitar-shop.jp/blog/wp-content/uploads/2016/09/sugimoto_tencho.jpg” name=”スギモト” type=”r line”]普段何気なく使っているピックですが、形状・硬さ・厚さは様々です。今回は38種類のピックを紹介します。[/voice]ピックの形は4種類
一般的にピックの形状は大きく分けて、ティアドロップ型、トライアングル型、ジャズ型、サムピック型の4種類があります。
このページでは、もう少し細かく分類してみました。それでは1つづつ見ていきましょう。
■おにぎり型(トライアングル)
トライアングル(三角形)で、ピックでは最も大きなサイズ。3つの角のどこも同じように利用できるので、ティアドロップ型より3倍長持ちして経済的。
薄いタイプが大半を占め、コードストロークプレイ・カッティング中心のギタリストに利用されることが多いです。
■サムピック
アコースティックギターや、エレキギターをフィンガーピッキングで演奏する際に、親指にはめられるように輪がついているタイプのピックです。
親指と人差指で挟む必要がなくなり、人差指をフィンガーピッキングに使えるようになるため、フィンガーピッキングでのアルペジオが主体のギタリストには必須のアイテムです。
非常にメリハリのあるベース音が得られます。
■ティアドロップ型
もっともポピュラーなスタイルで、多くのギタリストが使用している形です。
おにぎり型よりも小さめのサイズで、先端が鋭角になっているタイプ。
1ミリ前後の厚みが多く、様々な素材が使用されています。
先端に向かうにつれシャープになっていくので、弦へのひっかかり感が少なく、スムーズなピッキングが可能です。

①②セルテックス(ピックボーイ)…セルロイドとナイロンの中間の感触。弦との摩擦が少なくピックノイズが小さいが、やや滑りやすい。
③本べっ甲(GRECO)…タイマイの甲羅を使用。人間の爪と成分が近いと言われ、古くから「理想のピック」とされるが、天然素材のため非常に高価なのが欠点。
④デルリン(ジムダンロップ)…プラスチックの一種で弦離れはよいが、表面がツルツルのため摩擦が少なく、滑りやすい。
⑤ウルテックス(ジムダンロップ)…本べっ甲の代替材として、人間の爪に近い感触を目指した人工素材「ウルテックス(ウルテム)」を使用。感触はマット調で手に馴染みやすく、滑りにくい。
⑥ウルテム(クレイトン)…通常のウルテムを、クレイトン社独自の加工により、より爪で弾いた音に近くなるようにアレンジ。サイズが他よりも一回り大きめなので、適度なしなりがある。アコギ弾きに愛用者が多い。
■JAZZ3型
ソロプレイの多いジャズギタリスト用に作られた、ティアドドロップ型の先端をさらにシャープにし、サイズも小さくしたモデルです。
発音が早く、ティアドロップよりも更にスムーズなピッキングが可能で、JAZZギタリストはもちろん、ハードロック、ヘヴィーメタルギタリストの愛用者も多いです。
ピッキングハーモニクスが出しやすいのもメリットですが、ピックのしなりがないためストロークやカッティングには不向きです。

①JAZZ3(ジムダンロップ)…数多く存在するJAZZ3型のスタンダード。厚さ1.38mm。材質はナイロンだが小さくしなりが少ないため、通常のナイロン製よりも硬質なニュアンスが強い。
②ウルテックス JAZZ3(ジムダンロップ)…①とサイズは一緒だが、ウルテックス素材で作られている。
③ジョン・ペトルーシ プライムトーン JAZZ3(ジムダンロップ)…DREAM THEATERのギタリスト、John Petrucciの使用ピック。素材はウルテックスだが、右利き用のベベルが丁寧に施されており、最初から使い込まれたピックのように指にフィットする。
④トーテックス JAZZ3(ジムダンロップ)…表面がざらついたマット調で、ウルテックスよりも柔らかく滑りにくい。演奏中に汗をかいて、ピックを滑らせやすい人には特におすすめ。
⑤ウルテックス JAZZ3 2.0(ジムダンロップ)…ピック中央の厚みを2.0mmと増加しつつ、先端を立体的に尖らせることで、より速く繊細なピッキングを可能にしたモデル。商品名が通常よりも細字で入っていて、ほどよい滑り止めの役割を果たしている。
■JAZZ3XL型
「JAZZ3はソロプレイにはいいけど、小さすぎてバッキングが難しい…」といった悩みに応える形で開発されたのが、この形です。
JAZZ3のシェイプをそのままに、全体をワンサイズ大きくすることで、細やかなソロワークと、軽やかなコードワークを両立させやすくなっています。

①JAZZ3XL(ジムダンロップ)…ナイロン製のスタンダードタイプ。JAZZ3同様、赤と黒の2色で構成。
②ジョン・ペトルーシ JAZZ3(ジムダンロップ)… JAZZ3と名はつくが、サイズはXLとほぼ同等。ウルテックス製だが、先端を滑らかに加工することで弦離れの良さを狙ったモデル。プライムトーンほどのマット感はないが、センターのJPオリジナルロゴが滑り止めとして機能する。
③④INFINIX(MASTER8 JAPAN)…国内最大のギターピック専業会社「IKEDA PICKS」が旗揚げした新ブランド。ピックに初めて使用された特殊プラスチックは、柔軟性や耐摩耗性に優れていて、軽さやピックノイズの小ささも特筆モノ。
■V-PICKS
昨今のピック業界に彗星のように現れ、愛用者を増やし続けるブランド。
アクリル製で極厚のシェイプが多く、従来のピックとは全く異なる弾き心地に魅了されるギタリストも跡を絶ちません。
ピックのバリエーションが非常に豊富で、アクリルが持つ硬度の高さから、出音はギターならではの倍音が多く含まれています。摩耗することもほとんどありません。

①②③V-SP Small,Pointed…2.75mmという厚さを持つ、V-PICKSの代表的モデル。JAZZ3相当のサイズだが、トライアングルになっていて、3つの角全てを使うことができる。
④V-SPL Small,Pointed…①と同じ形で、厚さ1.5mmバージョン。通常のピックで1.5mmだと厚めな部類だが、V-PICKS独特のエッジ処理により、それほど厚さを感じさせない。
⑤V-MR Medium,Rounded…JAZZ3XLサイズは「ミディアム」となる。本モデルは3つの角がラウンド(丸く)に処理されており、ジャズ向きの柔らかいスムーズな音が得られる。
⑥⑦V-LP Large,Pointed…2.75mmの厚さで、サイズは通常のおにぎり型とほぼ同等。アクリルならではの早い弦離れで、激しいストロークプレイにも確実に追従する。
■メーカー・ショップオリジナル
ピックメーカーだけではなく、ギターショップやギターブランドもオリジナルのピックを販売しています。
記念モデルなどは二度と手に入らないものも多いので、コレクター的に集めてみるのも面白いですよ。

①東京にあるハイエンドギターショップ、Bottoms Up Guitarsの5周年記念モデル。ピックは、オリジナルモデルが誰でも簡単に製作できるので、自分専用のデザインなど作ってみると、練習もやる気が出るかも!?
②③④ポール・リード・スミス製のピックは、ギターのヘッドや指板に施されるバードインレイをあしらった、アバロン柄が美しいタイプ。ブランドのイメージを反映させたオリジナルピックは、宣伝効果も抜群!
■アーティストモデル
憧れのミュージシャンが使っているピックは、誰しも一度は憧れますよね。
特徴的なピックを使っているギタリストは、その音にピックの影響が反映されているのも事実です。
何を選べばいいかわからない人は、まずはアーティストモデルから入るのもよいのでは?

①TOTOのギタリスト、スティーブ・ルカサーが利用しているSL ROBOT TALK PICK。本来はマンドリン用のピックで、JAZZ3よりも小さなサイズだが、本人はギターに使用している。
②イングヴェイ・マルムスティーン愛用のピック。ジムダンロップのデルリン製ティアドロップ2.0mmがベースになっている。厚く滑りやすい素材のため弦摩擦が少なく、スムーズな速弾きにはもってこい。
③キング・クリムゾンのギタリスト、エイドリアン・ブリューのピックは、意外にもセルロイド製の1.0mmという標準的なモデル。
④スティーヴ・ヴァイの使用ピックは、ロックギタリストにしては薄めな、セルロイド製の0.73mm。
⑤ヴァイの師匠であるジョー・サトリアーニのピックは、セルロイド製の1.0mm。写真は、アルバム「クリスタル・プラネット」発売記念のプレミアムモデル。
オリジナル素材・シェイプ
基本的には人工素材で作られることが多いピックの世界ですが、革新的な素材を利用するイノベーターも現れています。
またシェイプに関しても、人間工学から導き出された新しいデザインを採用するなど、日々進化を続けています。


①ASSUR ROSEWOOD(ピックボーイ)…ギターの指板やサイド/バック材などでおなじみ、ローズウッドを削り出して成形したモデル。形はJAZZ3XLに近いが、先端がより鋭角になっている。厚さは2.0mmで、木材のピックという見た目のインパクトが強烈。
②ASSUR GENUINE HORN(ピックボーイ)…水牛の角を手作業でピック型に加工したモデル。厚さは2.0mm。非常に硬質な素材で、かつ先端がシャープなため、正確無比な速弾きなどに向いている。
③④BLACK KNIGHT GENUINE HORN(ピックボーイ)…②と同様に、水牛の角を使用。ASSURよりも縦幅を短くしつつ、2.0mmの厚さを立体的に削って先端を点(ポイント)に近づけているため、より正確なプレイが可能になっている。
⑤F-1 PICK(BIG ROCK ENGINEERING)…通常のピックの人差指側に、指の曲線に合わせたカーブがつくられていることで、指先に力を入れなくてもピックがグリップできる構造。指の中でピックが動くことがないため、常に安定したプレイが可能になる。
ピックの厚さ・素材によって音はどう変わるのか?
様々な種類のピックを紹介してきましたが、いったいどんな音を出してくれるのか?解説していこうと思います。
ピックの厚さによる音の違い

厚さによって弦を弾いた際のレスポンスが変わります。
薄ければ遅く、硬ければ早くなります。
また弦をヒットする際に生まれるアタック音にも影響し、硬ければはっきりとし、やわらかいと控え目になります。
アコギの場合は、特に厚みが音に影響し、硬いピックだとアタック感のあるパーカッシブな音になります。
繊細なタッチを求める方は薄くてやわらかいタイプ、早弾きなどはレスポンスの良い厚みのある硬いタイプが一般的です。
レスポンスが良く繊細な音も出したいという方は厚めのピックを使いつつ手の動きをコントロールして、繊細なサウンドを出したりします。
厚いものでは、2.0mmというものもあり、この厚みになるとほとんどピック自体がしならず、手を動かしたとおりにピックの先端も動きます。
●THIN(シン)/SOFT(ソフト) ・・・0.5mm位
●MIDIUM(ミディアム) ・・・0.7mm位
●HARD(ハード)/HEAVY(ヘヴィー)・・・1mm位
厚みとともに、他にも素材を変えることで硬さや音色が変わります。
同じ厚みでも素材が違えば硬さも違います。
また、弦を捉えるときの感触も厚さと同じく違ってきます。
ピックの素材で音はどう変わるのか?

ピックは5種類の素材で出来ています。1つ1つ音に特徴があります。
セルロイド
柔軟性があり使い易く、一般的に多く使われている。
ナイロン
硬めで磨耗に強い。アタック感が弱い。
ポリアセタール
ナイロンに特性が似ており磨耗に強い。環境変化に強い
デルリン
表面がざらついており滑りにくい。ピッキングした感触もザラッとした印象。
メタル
文字通りメタル素材のため、弦の消耗も早い。硬くアタッキーなサウンド。
ピックの選び方

ピック選びは基本的には使いやすさ、好みで選んで構いません。
困った時にはデザインや色で選ぶのも良いと思いますが、いくつか利用時の注意点を書いてみます。
弦に対してコードストロークがしやすく、弦に対する引っかかり感(特にアップピッキング時)がないTHIN(シン)/SOFT(ソフト) のピックの場合に、弦をはじくというよりも弦に対して撫でるような当たり方になります。
ですから、あまり極端に撫でるような弾き方が癖になりますと歯切れの良いフレーズやパキパキ弾きたいフレーズの時になんだかヌルっとしたまとわりつくようなリズムの印象になってしまいます。
気をつけたいところですね。
撫で回すような形で弾くのもありますが(ブルース等)、いつもどのフレーズでもそうなってしまうというような癖がつかないようにしたいところです。
弦に対する引っかかりが少ない分初心者にも使いやすいですので、ギターを始めてから変な癖がつかないようにしたいですね。
ピックが滑る!
滑り止めのピックもありますが、ここでは塗装による滑る滑らないの話。
基本的には白地と黒地が一番滑らないとされているようです。
他の色になるとそれだけ色をつけるために色々な成分が混ざりますので、白地や黒地に比べて滑りやすくなってしまいます。
また、とある有名ギタリストがおっしゃってましたが、そういった部分が関係するかどうかわかりませんが白地と黒地のピックが音も良いそうです。
この辺の滑る滑らない話と音の話はあくまでも噂ですが…。信じるか信じないかは貴方次第です!
サムピックを練習に取り入れよう!

親指にはめるサムピック。コードストロークが綺麗に鳴らせない、手首を柔らかく使いたい、そんな方はこれを使って練習するのをオススメします。
サムピックを親指にはめていつも通りピックを持っているようにして下さい。
あくまでも普段のピックの代用です。
サムピックを使って「サムピックと余った指でピッキングしよう!」「サムピックを使い方をマスターしよう!」という話ではないので注意して下さい。
サムピックを持って弾いてみると弾くのがなかなか難しいです。
特に手首がうまく使えてない人やコードストロークに変な癖がある人は大変だと思います。
サムピックはキチンと手首を動かして使わないとコードストロークが大変です。
それを利用して練習時にサムピックを使ってみるとコードストローク、ピッキングの矯正にもなります。
これは本当にオススメですので手首が固い方、コードストロークで鳴りが弱かったり、なんだかシャリシャリと擦れてるような感じの鳴り方がする方には是非とも取り入れてみて欲しいところです。
最終的には指が最強説

散々ピックに関して書きましたが、ニュアンスや色んな音を伝えるにはやはり最終的には指が一番いいのではないでしょうか。
ピックを使わないジェフベックの音を聞いてると本当にそう思います。みんな指でもジェフベックのような音にはならないでしょうけど…
ピックも色々試しながら指弾きも色々試したいですね!
ピックを持ちながら余ってる中指や薬指も積極的に使いたいところです!慣れてくると弦飛びのフレーズやアルペジオがめちゃくちゃ楽になりますよ!是非お試しください!
まとめ
いかがでしたか?ピックだけでもこれだけの種類が存在します。
ギター本体に比べるととても安い値段で手に入るので、このページを参考にして、自分に合ったお気に入りのピックを見つけてください。