自分のギターに使われている塗料を知ろう。
ギターはほとんどが木製であるため、湿度の変化に弱い楽器です。特に夏の高温多湿と、冬の乾燥には適切なケアをしてあげないと、大切な愛機にトラブルが発生しかねません。
ギターを外気から守っている塗装の種類と、それぞれのメンテナンス方法を学ぶことで、快適な状態を保てるようにしましょう!
[voice icon=”https://www.guitar-shop.jp/blog/wp-content/uploads/2016/09/sugimoto_tencho.jpg” name=”スギモト” type=”r fb”]ギターの塗装は大きく分けて3種類あります。それぞれの特徴を見ていきましょう。[/voice]ギターの塗装の種類

エレキ・アコギを問わず、現代のギターの塗装には、化学合成されたポリ系、天然素材を使ったラッカー系、同じく天然素材のオイルという、3種類の塗料が主に使われています。
カタログを見ても自分のギターの塗料が何かわからない場合はメーカーに問い合わせてみましょう。
■ポリ系
1960年台後半に登場した化学塗料で、エステル樹脂を使ったポリエステル、ウレタン樹脂を使ったポリウレタンの2種類に分けられる。
現代のエレキギターでは、一部の高級モデルを除いてほとんどがこの塗料を採用。アコギではポリエステルはほとんど利用されていない。
・塗装後の乾燥が非常に早いため、大量生産を行いやすい。
・外気の影響を最も受けにくく、耐久性にも優れている。
【デメリット】
・厚塗りになりやすいため、木の鳴りではラッカーやオイルに劣ることが多い。
・音の経年変化が生まれにくい。
■ラッカー系
伝統的に使われてきた天然樹脂を主成分として、ニトロセルロースやシンナーなどと混合された塗料。
フェンダー、ギブソン、マーチンなどのヴィンテージギターや、一部の高級メーカーのハイエンドモデルなどに採用されることがある。
・塗膜が非常に薄いため、木の鳴りがよく伝わる。
・経年変化による音の移り変わりが楽しめる。
【デメリット】
・塗料の50%以上が蒸発するため、ポリの倍以上の塗り重ねが必要で、手間と時間がかかる。
・外気の変化に敏感で、クラック(塗装面のひび割れ)が発生しやすい。
・半永久的に硬化せず、一生乾燥し続けるため、耐久性に難あり。
■オイル
ラッカー同様に古くから用いられている塗装法で、亜麻仁油やボイル油などが利用されている。
ボディはもちろん、ネックにも施されることが多い。木目がきれいに出ることから、ハワイアンコアなど木の質感を活かしたいギターに利用されることが多い。
・木肌にオイルが染み込んでいくので、塗膜はほとんど存在せず、木の鳴りを最も妨げない。
・塗装感が最も少ないため、木の質感をそのまま活かせる。
【デメリット】
・保護性が非常に弱く、外気の影響を最も受けやすいため、日常的なケアが必要。
塗装の種類が異なれば、当然ながらメンテナンス方法も異なってきます。ギターを大切にするつもりが、かえってダメージを与えてしまった…なんてことにならないように、基本を押さえておきましょう。
●ポリ系は最近のほとんどのエレキで採用
●ラッカーはヴィンテージギターか一部高級モデル
●オイルは木目を最大限活かしたいエキゾチック・ウッド系
※モデルごとに違うのでメーカーに問い合わせしよう!
塗装別!ギターのメンテナンス方法

日常的なギターのお手入れで重要なのは、「弾き終わったらクロスで拭くこと」です。
ボディ、弦、指板など、触れる箇所は全て演奏後に拭くことを習慣付けておきましょう。
そして弦交換時などには、ポリッシュやオイルを使って念入りにケアしてあげましょう。
そうすることで、もし塗装面などに異常が出ていれば、いち早く気づけるはずです。
■ポリ系
耐久性の高いポリ系塗装は、基本的にどんなポリッシュやオイルでも使えると思います。
ただし、ツヤ消しでマット調のギターを研磨剤入りのポリッシュで磨くと、表面にツヤが出てしまうので、成分表示は事前によく確認しておきましょう。
■ラッカー系
デリケートな塗料のため、ポリッシュには特に気を使う必要があります。
原則として、シリコン入りのポリッシュはラッカーと反応してしまい、塗膜が剥がれる危険性があるので避けるようにしましょう。
また、ラッカー対応と表示されているポリッシュでも、成分によって合わない場合もあるので注意が必要です。
初めて使う際には、ボディ裏などの目立たない部分に少量を塗って時間を置き、問題が起きないか必ずテストするようにしましょう。
■オイル
ほぼ無塗装に近いため、通常のポリッシュは向いていません。
マメに拭いてあげるほか、定期的に専用のレモンオイルなどを使って、丁寧に磨いてあげましょう。
乾燥を防ぐ!ギターのメンテナンス
また冬場の乾燥トラブルを避けるために次の方法でメンテナンスしましょう。
・乾燥による割れを防ぐため、指板を定期的にオイルで保湿すること。
・部屋の湿度を40~50%程度に保っておくこと。
※指板のメンテナンスや、湿度管理については下記を参照ください。
ギターを100年後も美しく保つ指板のメンテナンス方法・全手順
アコギは乾燥が大嫌い! 冬場のアコースティックギターの正しい保管方法4つ
これらも基本として大切なので、コンディションにはしっかり気をつけて、ギターを末永く愛していきましょう!