アコギ3大ブランドをボディで比較してみます。
テイラーは、今やアメリカでは、マーチン、ギブソンと並び、三大アコースティックギターブランドと称されるまでになりました。
トラディッショナルなアコギのよさを大切にしながらも、随所に現代的なあしらいを加えることで、音の素晴らしさと演奏性を高次元で兼ね備えた、実用的な銘器として人気を博しています。
とはいえ、「アコギと言えば、やはりマーチンかギブソンかな?」と考えて、最初にテイラー以外のギターを購入した方は多いのではないでしょうか。
上達していく中で、セカンドギターが欲しいな、と思っているものの、自分の所有ギターと比べた時に、どのモデルがどういう感覚なのか、わからないと不安になりますよね。
試奏できる環境も限られているし、気軽に購入できるような値段でもないし…という中で、一歩を踏み出せない人は少なくないと思います。
[kanren postid=”958,831,779″]ギターにとって音質と同レベルに重要なのが、演奏性、いわゆる「弾きやすさ」です。
ネックの太さ、シェイプ、使用フレット、スケールなど、数多くの要素が影響しますが、アコギはボディの質量が大きいため、ボディサイズが演奏性と切っても切り離せない関係にあります。
今回は各ブランドの代表モデルを比較するので、いま使っているギターと比べて気になるギターはどうなっているのか、参考にしてもらえればと思います。
■マーチン
マーチンの各モデルを、全長の長いものから並べると以下になります。
※14フレット・ジョイントモデルのサイズです。

全長1028.7mm
ボディ全長508.0mm
ボディ幅396.9mm
ボディ厚み123.8mm
スケール643.6mm[/aside]

全長1011.2mm
ボディ全長492.1mm
ボディ幅381.0mm
ボディ厚み104.8mm
スケール643.6mm[/aside]

全長1011.2mm
ボディ全長492.1mm
ボディ幅381.0mm
ボディ厚み104.8mm
スケール631.0mm[/aside]
[aside type=”normal”]OO(ダブルオー)
全長981.1mm
ボディ全長479.4mm
ボディ幅363.5mm
ボディ厚み104.8mm
スケール631.0mm[/aside]
ドレッドノートはD-28などに代表される、ボディのくびれが少ないタイプですが、全長だけではなく、ボディの幅も厚みもダントツに大きいことがわかります。
肩が角張っているスクウェアショルダーであることも相まって、とにかく抱えた時に「ゴツい」感覚の強い、体の大きな男性向けのボディです。
他のモデルは、ボディのくびれが深く、厚みに差はありません。
最も小さく、かつ歴史の長いモデルがOOになり、スケールも短めになっています。
それを大音量を求める時代のニーズに合わせて、ボディのみ大きくしたのが、エリック・クラプトンの使用で有名になったOOOです。OMはOOOのスケールをドレッドノートに合わせて長くしたモデルで、繊細さよりも力強い響きを優先しています。
■ギブソン
ギブソンと言えば、ラウンドショルダーと呼ばれる「なで肩」スタイルのJ-45、エルビス・プレスリーも使用していたJ-200などが有名です。ジャンボとも呼ばれるそのボディサイズを見てみましょう。

全長1060.5mm
ボディ全長533.4mm
ボディ幅431.8mm
ボディ厚み120.7mm
スケール647.7mm[/aside]

全長1035.1mm
ボディ全長512.8mm
ボディ幅406.4mm
ボディ厚み122.2mm
スケール628.7mm[/aside]
際立っているのが、やはりボディの大きさです。
マーチンの最大サイズ、ドレッドノートと比べて、厚みはほぼ同等ながら、全長、ボディ全長ともに上回っています。
特にJ-200は格別に大きく、よほど体の大きな人じゃないと弾きこなすのが難しいと言えそうです。
一方で、J-45はエレキのレスポールなどにも採用されている「ギブソンスケール」を採用しており、マーティンの各モデルよりもスケールが短くなっています。
■テイラー
さて、テイラーのギターをこれらと比較してみると、各モデルはどこに位置するでしょうか。5つのモデルを見てみましょう。

全長1057.3mm
ボディ全長523.9mm
ボディ幅425.5mm
ボディ厚み127.0mm
スケール647.7mm[/aside]

全長1041.4mm
ボディ全長508.0mm
ボディ幅412.8mm
ボディ厚み117.5mm
スケール647.7mm[/aside]
[aside type=”normal”]ドレッドノート(DN)
全長1041.4mm
ボディ全長508.0mm
ボディ幅406.4mm
ボディ厚み117.5mm
スケール647.7mm[/aside]
[aside type=”normal”]グランドオーディトリアム(GA)
全長1041.4mm
ボディ全長508.0mm
ボディ幅406.4mm
ボディ厚み117.5mm
スケール647.7mm[/aside]
[aside type=”normal”]グランドコンサート(GC)
全長1028.7mm
ボディ全長495.3mm
ボディ幅381.0mm
ボディ厚み111.1mm
スケール647.7mm[/aside]
テイラーの特徴とマーチン・ギブソンとの比較
テイラーの特徴は、まずスケールがどのモデルも647.7mmで固定であることです。
ギブソンのJ-200と同じと聞くと、かなり長めに思えるかもしれませんが、エレキでは多くのストラトキャスターモデルで採用されている、いわゆる「フェンダースケール」であり、慣れ親しんでいる人も多いと思います。
音の張り出しの強さを優先したスケールと言えるでしょう。
[voice icon=”https://www.guitar-shop.jp/blog/wp-content/uploads/2016/09/sugimoto_tencho.jpg” name=”スギモト” type=”r line”]それでは、この3つのブランドのボディサイズを実際に比べてみましょう。[/voice]モデル名 | 全長 | ボディ全長 | ボディ幅 | ボディ厚み | スケール |
---|---|---|---|---|---|
マーチンDN | 1028.7mm | 508.0mm | 396.9mm | 123.8mm | 643.6mm |
マーチンOM | 1011.2mm | 492.1mm | 381.0mm | 104.8mm | 643.6mm |
マーチンOOO | 1011.2mm | 492.1mm | 381.0mm | 104.8mm | 643.6mm |
マーチンOO | 981.1mm | 479.4mm | 363.5mm | 104.8mm | 631.0mm |
ギブソンJ-200 | 1060.5mm | 533.4mm | 431.8mm | 120.7mm | 647.7mm |
ギブソンJ-45 | 1035.1mm | 512.8mm | 406.4mm | 122.2mm | 628.7mm |
テイラーGO | 1057.3mm | 523.9mm | 425.5mm | 127.0mm | 647.7mm |
テイラーGS | 1041.4mm | 508.0mm | 508.0mm | 117.5mm | 647.7mm |
テイラーDN | 1041.4mm | 508.0mm | 406.4mm | 117.5mm | 647.7mm |
テイラーGA | 1041.4mm | 508.0mm | 406.4mm | 117.5mm | 647.7mm |
テイラーGC | 1028.7mm | 495.3mm | 381.0mm | 111.1mm | 647.7mm |
ドレッドノートは、マーチンのドレッドノートとサイズは近いですが、厚みがややスリムになっているため、音は気に入っているが演奏時のギターの収まりに苦労していた人には、よいオプションになると思います。
またストロークやアルペジオだけではなく、ハイポジションでのソロプレイなども重視したい方は、グランドオーディトリアムがよさそうです。
ドレッドノートとサイズは同じですが、テイラーの真骨頂でもあるカッタウェイ加工により、ハイポジションで抜群の弾きやすさを実現しています。
最も大きいグランドオーケストラは、ギブソンのJ-200とサイズはほぼ同等ですが、127mmという厚みが特徴的です。
J-200以上に際立った生音の大きさを響かせてくれるでしょう。
また、J-45とグランドシンフォニーは近いサイズなので、同じ方向性で弾きやすそうなセカンドギターを求める人には、グッドチョイスだと思います。
最後に、クラプトンに憧れてOOOを購入した人には、グランドコンサートが近いサイズになります。
女性や体が小さめの人で、音の大きさよりも繊細なソロギター、フィンガーピッキングを聞かせたい人は、違和感なく弾きこなせるはずです。
今回はあくまでボディサイズとスケールから見た比較になりますが、バックのカーブ形状やネックシェイプなど、演奏性を形づくる要素は様々です。
ボディサイズ比較をひとつの判断材料として、お気に入りを見つける際の参考にしていただければと思います。