こんにちは、テイラー専門店・アコースティックギタースギモトの店長杉本です。
春ですね(同時に花粉の時期ですね・・・涙)。そして桜の季節ですね。
自宅のベランダからは、近所にある(地元のちょっとした名所)「桜通り」が見渡せるのですが、すでに開花していてとても良い眺めです。
この「桜通り」。名前の通り、道路沿いには街灯と一緒に桜の木がたくさん並んでいて、毎年この時期になると普段何の変哲もないただの道路が主役に変わるんです。
しかし昨年、桜の木が(ただでさえ狭い)道路の道幅を狭めているという事で、何本か伐採されてしまったんです。
毎年この季節を楽しみにしている住民にとってはショックな光景でしたが、普段から車の交通量が多い(それなのに道幅が狭い)ので仕方のない処置だと思います。
木が減って今年はどうなるのかなぁ??と心配していましたが、木の減りを感じさせないくらい、元気に、立派に咲いています。
今年も美しさは健在で、ホッとしました。
さて今日は、桜の話繋がりで、「木材」をテーマにして書いてみようと思います。
先日、日経新聞の中にこんな見出しの記事がありました。
「国産高級木材が品薄!!」
ヒノキやヒバなどの国産高級木材が供給不足で、取引価格が5年前に比べて7割高になっているようなのです。。
これらの木の成長には時間がかかるのに対し、昭和期に住宅用に大量伐採した事が原因で、現在の供給量減少に繋がっているようです。
ギターにとって木材は欠かす事のできない存在です。
色々な種類、性質の木材があり、それらを使う事で個体差(個性)が生まれ、異なるバランスの音色を生み出しています。
ギターの年間生産量はどれくらいなのでしょう?
今は中国、東南アジアなどの工場で大量生産するご時勢です。使われる木材、木の成長はそれに追いつけているのでしょうか・・・?
例えば、よく使われる「マホガニー」は、以前に比べて手に入れるのが難しくなっている材の1つです。
人気のある「メイプル」も近年高値で取引される傾向にあります。
こういった供給不足にある木材は今後、取引規制がどんどん厳しくなっていくのだろうと思います。
「取引規制の強化」
必要な措置だと思いますが、これ以上に大切なのが、
「メーカー側の取り組み方、姿勢」
だと思います。
伐採された木材に対して、いかに長くその森林環境を持続できるかを考え、そして資源をいかに効率良く無駄なく使うか(それを品質低下に繋げないための工夫、技術も含め)、そうしたモラルと工夫が今メーカー側に求められている事の1つなんだと思います。
例えばテイラーは、アフリカにある木材伐採会社を自分達で所有する事で、自社で伐採量を厳重に管理し、森林育成に努めているそうです。
木材使用の効率化も、そのネック加工に表れています(この辺りの事は、後日詳しくブログに書きたいと思います)。
森林にも、様々な草木が生え、それを食べる動物がいて、人が暮らし・・・共存して生きていく環境があるわけなので、その事を度外視して、ただ木を切って使うだけではダメって事ですね。
先程のヒノキの話に戻りますが、昭和期は競争の中で自己の利益を強く追い求めていたんでしょうね。その結果、伝統建築の改修工事に多額の費用がかかる事になってしまったわけです。
各メーカーには、そうした結果を生まないような取り組みを、これからも続けていってもらいたいと思います。
木を切ってギターを作るだけではなく、「木も創れる」メーカーであってほしいですね。